『映像で学ぶ舞踊学-多様な民族と文化・社会・教育から考える』


 

  書籍情報

・著者 遠藤保子[監修]
    弓削田綾乃
    高橋京子
    瀬戸邦弘
    相原 進[編著]

・価格 2000円+税
・ISBN-13 978-4469268836
・発売日 2020年4月
・出版社 大修館書店

出版社による書籍紹介

 
【概要】(出版社ホームページより)

文字と映像が融合した舞踊学の新しいテキスト。国や地域、民族や文化・社会の数だけ、多様な舞踊が存在する。その舞踊の現在を学ぶために、人類学や社会学、教育学、工学等の様々な領域を横断し多様な方向から問いかけ、自ら考えていくことが必要になる。本書では執筆者各々が「何をみるか」という明確な問いを持ち舞踊に対峙し、映像情報と共に学ぶことができる。

 

【目次】
まえがき

第I章 グローバル社会と舞踊

第1節 舞踊と民族・文化・社会
 1.舞踊を探究するとは
 2.民族舞踊と民俗舞踊を論じることで何がみえてくるのか
 3.舞踊の分析と解釈
 4.グローバル社会と舞踊のボーダレス
 5.これからの民族舞踊
第2節 民族舞踊と芸術舞踊――モダンとコンテンポラリー
 1.民族舞踊と芸術舞踊の関係について考えるために
 2.表面上の相違点
 3.深層における共通点
 4.「芸術舞踊」のパラドクス
 5.今後の展望:コンテンポラリーダンス
第3節 民俗芸能の保護――文化財保護法および無形文化遺産保護条約の理念から災害研究へ
 1.民俗芸能の保護を考える
 2.文化財保護法における民俗芸能の保護
 3.無形文化遺産保護条約における民俗芸能の保護
 4.災害研究における民俗芸能の保護と伝承
 5.自分たちの民俗芸能を譲ることは、災害対応の次善の策となる
第4節 舞踊と身体――「踊る身体」とは何か
 1.身体を考えるということ
 2.「鏡のなかの身体」と「鏡に映らない身体」
 3.「意志するわたし」と「生身のわたし」
 4.舞踊する身体
第5節 舞踊と教育――Society 5.0で求められるダンス教育
 1.ダンスを学ぶことの意義
 2.Society 5.0で求められる人材像
 3.ダンス教育の現状と課題
 4.ダンス教育の変遷と今後
第6節 舞踊と共創
 1.障がい者や高齢者と関わった私自身の変化
 2.シリーズとつとつ
 3.新たな試み


第U章 多様な民族と舞踊

第1節 日本の舞踊――舞踊表現と地域社会
 1.地域で育まれる多彩な舞踊文化
 2.現代社会と舞踊
 3.仏舞とは
 4.仏舞の舞踊表現――何をどのようにあらわすのか
 5.今を生きる人と社会にとっての仏舞とは
第2節 ウンダルーと島の記憶――離島における無形文化の継承とそのリバイバル
 1.沖縄における綱引き習俗と歌と踊りの世界
 2.渡名喜島の概要
 3.渡名喜島のカシキー習俗と綱引き
 4.多層な文化複合体としての綱引き習俗と歌と踊りの世界
 5.ウンダルーという歌と踊りの世界
 6.ウンダルーのリバイバルとその継承――イメージ(画像と映像)の果たした役割
 7.時を超えて「無形文化」を護る、受け継ぐ
第3節 韓国の舞踊――受け継がれる伝統、そして新たな芽吹き
 1.韓国について
 2.韓国の歴史と舞踊
 3.伝統と再創造――太平舞
 4.新しい芽吹きと新しい伝統の創造
第4節 舞踊は社会を映す鏡――ネワール人の舞踊劇「ガン・ピャカン」
 1.ネパールの変わる国のかたち
 2.ネワール族の舞踊文化とその意義
 3.ガン・ピャカンに関する祭礼行事とネワール仏教
 4.舞踊劇「ガン・ピャカン」
 5.舞踊劇「ガン・ピャカン」の意義と伝承
 6.舞踊劇「ガン・ピャカン」はネパールの社会変容を内包している
第5節 タイの民族舞踊――舞踊と信仰を結ぶ師匠
 1.君主制と舞踊の関係
 2.タイ伝統舞踊教育の学制導入
 3.タイ古典舞踊劇史とノーラー
 4.ノーラーに関わる人々
 5.『マノーラー』と「ノーラー」
 6.具現化する師匠霊
第6節 インドネシア――“絆”をむすぶ舞踊
 1.インドネシアの多彩な舞踊への招待
 2.ジャワ島の舞踊
 3.スマトラ島の舞踊
 4.バリ島の多彩な奉納舞踊
 5.舞踊の社会的な役割
第7節 インド――南インドの社会と舞踊
 1.インドの概要
 2.インドの古典舞踊とデーヴァダーシー
 3.南インド、ケーララ州の自然環境
 4.南インド、ケーララ州の民俗舞踊
 5.疱瘡(天然痘)にまつわるテイヤムのストーリー
 6.2つのテイヤムの衣装と舞踊
 7.南インドの社会と舞踊
第8節 トルコ――セマーの宗教的意義と担い手たちの認識
 1.トルコ社会と宗教と身体
 2.トルコにおけるアレヴィーと呼ばれる人
 3.宗教と身体――アレヴィーの儀礼と身体
 4.アレヴィーのセマーとセマーに対する認識
 5.セマーのトルコ社会での展開
 6.まとめ――宗教と身体の関係
第9節 エチオピアの民族舞踊――国立劇場における新演目の創作過程を事例に
 1.多民族社会としてのエチオピア
 2.エチオピアの民族舞踊
 3.エチオピア国立劇場
 4.新演目「シダマ(Sidama)」の概要
 5.新演目の創作過程――調査部門の役割と楽曲の創作
 6.舞踊パートでの創作(2017年8月14日以降)
 7.多民族社会における舞踊
第10節 ガーナの民族舞踊――ガーナ国立舞踊団にみる社会と舞踊
 1.アフリカの脱植民地化とガーナ
 2.ガーナにおける民族舞踊
 3.舞踊の教育・保存・発展
 4.ガーナ国立劇場と国立舞踊団
 5.国立舞踊団における練習
 6.練習の特徴
第11節 ブラジル――ペルナンブーコ州レシーフェの民衆舞踊フレーヴォ
 1.多民族社会としてのブラジル
 2.フレーヴォとは何か
 3.民衆舞踊としてのフレーヴォ
 4,ナシメント・ド・パッソとフレーヴォの教育
 5.ナジメント・ド・パッソのフレーヴォ指導に対する2つの問題提起
 6.フレーヴォの市立学校のダンスクラスにおける新たな指導法
 7.見世物あるいは舞台芸術としてのフレーヴォ
 8.多様化する民衆舞踊の実践環境
 
 ◆コラム@ アイヌの舞踊――参加する舞踊から見せる舞踊へ
 ◆コラムA 病と舞踊
 ◆コラムB おどりの坩堝――ハワイのBon Dance
 ◆コラムC 舞踊とジェンダー
       ――ポピュラー・ダンスにおける「まなざし・ジェンダー・人種」
 ◆コラムD エジプトのナッブート――舞と武の狭間のローカル身体文化
 ◆コラムE 太陽神の力を授かれる?――「老人の踊り」


第V章 舞踊の指導例

第1節 踊る身体「個別性」「普遍性」
 1.踊る身体の「個別性」「普遍性」
 2.身体技法・身体文化とは
 3.ソマティクス、ボディワーク、身体技法
 4.踊られてきた理由、身体からの視点
第2節 よさこいソーラン――よさこいソーランの指導展開事例
 1.よさこいソーランの特性
 2.よさこいソーランの指導
 3.伝統と創造
第3節 江州音頭(近畿地方)――小学生を対象としたフォークダンス教材としての盆踊り
 1.江州音頭の特性
 2.小学校における盆踊り学習の3つの意義
 3.指導の実際
 4.合いの手による一体感の高揚
第4節 カラリパヤット――しなやかな身体づくりのためのマーシャルアーツ
 1.カラリパヤットの特性
 2.大学の実技授業におけるカラリパヤットの指導
 3.指導の実際
 4.しなやかな身体づくりの実践
第5節 サンバ――中学校体育におけるダンス学習としてのサンバ
 1.サンバの特性
 2.中学生を対象としたサンバの指導
 3.指導の実際
 4.ダンス学習におけるサンバの可能性
第6節 カポエイラ――幼児を対象としたカポエイラ
 1.カポエイラの特性
 2.幼児期の発育発達の特性を踏まえたカポエイラの指導
 3.指導の実際
 4.幼児期の心身の発育発達に寄与するカポエイラの実践
第7節 秋田の盆踊り――DVDを用いたグループ学習で各地の盆踊りの特徴の違いを味わおう
 1.DVDを用いた民俗舞踊の学習
 2.秋田の盆踊りの概要
 3.「秋田の盆踊りの学習」実践の概要
 4.1時間の流れ(2/3時間目)
 5.郷土の歴史・文化・誇りを踊りの学習によって体験する


第W章 デジタル記録と教材

第1節 デジタル記録と舞踊
 1.時空間芸術としての舞踊
 2.舞踊のデジタル記録
 3.形なき舞踊をデジタル記録するということ
第2節 デジタル記録の活用
 1.舞踊をデジタルデータ化する意義
 2.モーションキャプチャによる舞踊の身体動作計測
 3.モーションデータ活用
 4.デジタル記録の課題
第3節 デジタル教材の制作
 1.アフリカの舞踊の伝承・保存・記録
 2.教材の概要
 3.教材の詳細
 4.舞踊のデジタル記録と教育的活用
第4節 デジタル教材の活用――デジタル教材『エチオピアの社会と舞踊』の概要と実践報告
 1.デジタル教材『エチオピアの社会と舞踊』の概要
 2.小学校におけるエチオピアの民族舞踊の授業実践の内容
 3.実践報告
 4.まとめ

おわりに
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